地色舗装材ベーシックペイブ
図と地の調和を取り戻すため、「地」は10YRの色調が望ましい。
我が国の自然は四季の移り変わりが明快でとても美しい。春になると桜が一斉に咲き、芽吹き、新緑に変わる。そして夏に向かって樹木の葉は深い緑色になり、秋になると紅葉し、鮮やかな赤や黄色で彩られる。そして寒い冬がくる前に葉は散り土に帰っていく。自然の豊かな色の変化は、私達の生活のリズムとなっている。このような自然を見る時に、変わる色の方に目を奪われがちだが、豊かな変化は落ち着いた低明度の大地の色がなければ感じられない。
日本の多くの都市は、街路樹を植え沢山の花も管理しているが、自然界のように美しくは映えない。自然の変わる色の見えを支える大地の色は、樹木の緑よりも鮮やかな色彩の舗装材に代わった。商店街では競って彩度が高い色が使われ、自転車専用道は青く塗られ、地域の個性を演出するために多色の絵が描かれることもある。都市景観において舗道の色彩は基本的に地として考えるべきであろう。都市に必要なサインや、おしゃれな店舗や、まちを歩く人々の楽しげな姿を引き立てることが重要である。
自然石の色を生かしたベーシックペイブは、日本の都市景観に秩序ある図と地の関係を取り戻すために普及したい舗装材である。
色彩計画家 吉田愼悟
CLIMAT代表取締役
武蔵野美術大学教授
景観デザイン支援機構会員 代表幹事
多くの色彩、景観事業に携わる。
10YRの中明度、低彩度の範囲
木々の緑や空の他は、概ね10YR系の色彩にまとまっている。
地域で産出する材を用いた街並みは、温かみのある落ち着いた
低彩度の範囲におさまるものが多い。
施工実績①日向市新庁舎
カラーと素材感のバランスが良く、空間全体に溶け込む舗装材
景観設計において各舗装材等を選択する際、主に素材そのものの良さが引き出された自然素材や、レンガ等を選択することが多い。それは市場に多くみられるコンクリート製の舗装材やインターロッキング等が、着色料をふんだんに使用してコンクリートそのものの良さを引き出せていないと思われるからです。しかしベーシックペイブは単なる洗い出し仕上げの舗装材と異なり、地色舗装材のコンセプトを元に10YRの中明度、低彩度のカラーを持ちながら、骨材と着色料それぞれが主張しすぎないバランス感を持っています。そしてコンクリートそのものの良さを引き出したテクスチャーであると感じられたので採用に至りました。
本計画において主である庁舎の外観の雰囲気を損なわず、建物の外壁材である天然木とのマッチングも良いと感じています。建築設計者にも舗装材の選択時にベーシックペイブを確認頂き、採用に至りました。商品コンセプトの通り商品単体として主張せず、空間全体に溶け込むようなカラーバランスであると感じています。
また自然骨材そのものの素材感を表現しているので、経年変化による美観も損なわれにくいのではないでしょうか。
景観設計においての素材の重要性
景観設計を行う重要なポイントは、デザイナーとしての意図を風景から消してしまうことだと考えています。解り易く言うと、その場所に人々が訪れた際、何気なく居心地が良いと感じられ、いるだけで満足する空間に仕立てること。デザイナー個人の自己主張を来訪者に無理やり理解させるような空間ではなく、自然にその空間に訪れる回数が増え、滞在時間が長くなるような空間にしつらえるようにすることが都市設計家としての私の理念です。
舗装材に関しても、そのものが主張しすぎないことが重要です。
ヨーロッパの街並みには舗装材が声高に主張するような景観は多くありません。舗装が都市景観の基盤として街並みに調和し、訪れた人々が自然と憩いくつろいでいられる。そのような風景を創造するには地色舗装材のコンセプトは評価できるものだと思っています。
- 事業主
- 日向市
- 所在地
- 〒883-8555 宮崎県日向市本町10番5号
JR日向市駅より徒歩5分 - 建築設計
- 株式会社 内藤廣建築設計事務所
- 外構設計
- 有限会社 小野寺康都市設計事務所
- 竣工
- 平成30年5月
- 使用色名
- アース 3
- 規格寸法
- 300×150
有限会社
小野寺康都市設計事務所
代表 小野寺 康 氏
施工実績②ナーサリールーム ベリーベアー深川冬木
景観を崩さず飽きが来ない、植栽との配色バランスのよさが魅力
ナーサリールームベリーベアー深川冬木(以下当保育所)は、保育所を建設する以前は公園として利用されており、児童と保護者の皆さまだけでなく公開空地という立地上、地域住民の方々も敷地内を通行する環境です。
また樹木も大きなものは伐採せず、公園からそのまま残されたものも多い。よってカラフルな舗装材で特徴的なデザインにすると地域の景観を崩す可能性もあり、多くの通行者の方々からデザインが飽きられることも懸念されました。そこで全体の景観のイメージを崩さず、植栽との配色バランスの良いベーシックペイブの採用を決定しました。
施工箇所は地盤レベルが安定していない状況だった為、サイズは施工性において自由度の高い 150×150を選択しています。この選択はベーシックペイブの最大の特徴である、10YRの中明度、低彩度の自然な濃淡のバランスを上手く表現出来たのではないかと思っています。また小さなサイズにすることによって、通行時における自転車やキャスターバックの目地による不快な振動を和らげる効果もあります。
自然へのリスペクトを感じられる素材コンセプト
吉田愼悟先生の仰られている「図と地の調和」の考えについても賛同しております。
当保育所にベーシックペイブを採用したもう一つの理由として「計画に自然に対する想いを込めたい。」という考えもありました。景観におけるもっとも望ましいことは自然をそのまま活かすこと。しかし実際に人が住まう為の都市計画にはそれは難しい。よって何かしらの自然を感じさせる表現を行ったり、自然をリスペクトする商材をチョイスすることで、その計画に想いを込めることを信条としています。
地色舗装材ベーシックペイブはまさしく、自然へのリスペクトを感じられる素材コンセプトだと思います。
- 事業主
- 株式会社 ネス・コーポレーション
- 所在地
- 〒135-0041 東京都江東区冬木1-5
東京メトロ東西線・大江戸線
「門前仲町駅」より徒歩3分 - 建築設計
- 積水ハウス株式会社
- 外構設計
- 株式会社 スタジオゲンクマガイ
- 竣工
- 平成29年1月
- 使用色名
- アッシュ 1、3、5
- 規格寸法
- 150×150
株式会社
スタジオゲンクマガイ
代表 熊谷 玄 氏
地域を支える、文化を生かす、自然との調和の3つを基本コンセプトとして開発されたベーシックぺイブ。
10YRの中明度、低彩度で構成されたカラーマネジメントは、日本の美しいまちなみを図と地の調和で美しく構成し、高い透水性能と不陸抑制機能を持つこれまでには無い舗装材です。
カラーバリエーション
-
アッシュ 1
-
アッシュ 2
-
アッシュ 3
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アッシュ 4
-
アッシュ 5
-
アース 1
-
アース 2
-
アース 3
-
アース 4
-
アース 5
輝度比 基準クリア色 早見表
色名 | 乾式透水 黄色 |
乾式不透水 黄色 |
特注 グレー |
特注 ライトグレー |
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アース 1 | ● | ● | ● | ● |
アース 2 | ● | ● | ● | ● |
アース 3 | ● | ● | ● | ● |
アース 4 | ● | ● | ● | ● |
アース 5 | ● | ● | ● | ● |
色名 | 乾式透水 黄色 |
乾式不透水 黄色 |
特注 グレー |
特注 ライトグレー |
---|---|---|---|---|
アッシュ 1 | ● | ● | ▲ | ● |
アッシュ 2 | ● | ● | ▲ | ● |
アッシュ 3 | ● | ● | ▲ | ● |
アッシュ 4 | ● | ● | ▲ | ● |
アッシュ 5 | ● | ● | ▲ | ● |
※乾式透水タイプ232.6、乾式不透水タイプ241.4、
特注グレータイプ556、特注ライトグレー162.4にて計算しています。
規格寸法受注生産品
- ワンユニオンシステムタイプ
- ワンユニオンシステム無しタイプ
- ●寸法表記は目地キープ込みのモジュール寸法となっております。
- ●1色1アイテム20㎡以上からの受注生産品となります。
透水機能
水たまりができにくい
雨の日でも水たまりができにくいので、快適な歩行・走行が可能です。
ワンユニオンシステム
不陸・段差の発生を抑制
側面を凹凸形状にし、凹凸部を噛み合わせて施工することにより不陸・段差の発生を抑制し、平坦な舗装面を維持。歩行にも最適です。前後左右のブロックの連結を保つためにレンガ敷き施工を行います。
エイジング加工
色褪せしにくい
舗装材表面を洗い出し加工を施し、自然骨材の表情をそのまま残しました。経年変化による退色も少なくメンテナンスも容易となります。