TOYO SCAPE | 03.JR博多駅前広場

「和」の趣を基調とした新博多駅ビルと駅前広場。舗装デザインは博多織をイメージした格子模様。

新博多駅ビルの外装デザインは、「和」を感じさせる縦の流れを全体の基調とし、駅出入口の視認性を高めるために、幅約60mの波打つ白い大屋根がアクセントになっています。建物全体の主色はホワイトカラーで、「大博通り」や「はかた駅前通り」から目にくっきりと映ります。
駅前広場の外構計画では、その建物のイメージと駅ビルの色調との調和を第一に考慮した設計がされました。なかでも従来の自動車駐車場を地下に移し、広々とした歩行者空間を創設したこと。また、無駄な人工物の設置を抑えたシンプルなデザインと、心地よい移動・滞留を促す植栽や舗道などが特徴です。

当社はその舗装計画で、駅出入口の東西に広がる舗道部、南側バスターミナルを結ぶ庇付き歩道部、東側ターミナルを取り囲む舗道部、西側にある博多郵便局前の舗道部を、製品の納入から敷設工事まで担当。デザインは、新駅ビルが和のモチーフを大切にしているため、落ち着いた薄いグレー系統のカラーを基調とし、博多織をイメージした格子模様を表現することに成功しました。また、舗装材の材質には工夫を凝らし、阿蘇の溶岩を用いたオリジナル製品を開発。これが採用されすべて当社の福岡工場で生産しました。製品毎に仕分けたグレーの濃淡と、製品表面の溶岩粒子が上品な和の趣を醸し出しています。それらの敷設工事には、一日何十万人が往来する駅前の舗道のため、丈夫な強化板工法を取り入れ、施主と設計者からその仕上げに対して高い評価をいただきました。

博多織をイメージした格子模様、スーパーテラ(特注色)

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百年後にも飽きられない舗装計画の取り組み。全体設計との調和を考えながら工夫を重ねる。

新博多駅ビルの建設と駅前再開発事業は、何十年に一度という大型公共事業です。その重要な意味から、建物をはじめ外構、照明や植栽に至るまで、すべての関係者が一緒に新しい街を造るという意識でした。そのなかでデザイン計画は、ハードが完成してからカタチとしてずっと存在するため、そのコンセプトや表現テーマへの取り組みはひときわ真剣でした。

当社においても、広々とした駅前空間の舗道に、いかに博多や九州という郷土色を形成するか。本社の企画デザイン室は、全体設計イメージとの調和を考慮しながら工夫を重ね、それがグレーカラーを基調とした博多織のデザインに結びつきました。また、九州阿蘇のイメージを博多駅前に反映させることを提案し、その溶岩粒を入れた当社のオリジナル舗装材は関係者の期待に応えました。そして実施設計段階においても、工事期間がタイトであるため、的確な施工図面を製作することにより、工事進捗を遅延することなく、無事に完了することができました。
当社の働きは全体計画の一部ですが、この新博多駅ビルと駅前広場は、2011年度グッドデザイン賞を受賞しました。

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営業担当者の話

どんな相談を受けても、きちんと答えを返すことが信頼に結びつく。

JR博多駅と新駅ビルの建設及び駅前広場再整備事業は、福岡市「100年事業」の1つであり、九州全体からも注目を集めていました。
この大型プロジェクトは、福岡市、JR九州、九州大学を柱とする事業委員会が中心となって推進。2008年に建物関係の建設会社が決定しましたが、外構計画については未定の状況で、何とか参入したいと願い関係各位を回りました。外構計画のデザインや担当業者が決定したのは2010年5月頃のことです。

その決定までの期間、営業として取り組んだのは、委員会の全メンバーの討議内容を取りまとめ、当社に出来るお手伝いを行った結果、重要な会議にも出席可能となりました。そこをステップに、当社の製品PRはもちろんですが、私が努力したのは、各計画メンバーの窓口の意見調整役です。各専門家から集まる異なる意見・立場を尊重し、その難しい調整役としての活動がプロジェクト推進に役立ったと喜んでいただけました。そうした活動から、駅前舗装計画の製品納入から工事までの仕事を発注していただくことができました。舗装デザインについては企画デザイン室と相談して進行。博多というテーマを表現するために「博多織」をイメージした格子デザインが好評でした。舗装材については、当初は石材という計画でしたが、コンクリート材へ変更に。当社の推奨する阿蘇の溶岩を混ぜた特注品のスーパーテラが採用され、実施計画は一挙に進んでいきました。

舗装計画が進捗するなか、当社は調整役だけでなく、施主の多種多様なお手伝いにも取り組みました。例えば、バスターミナルのルーフや照明、黒田節の石像、植栽のことなど。各窓口からの相談には、各専門家を訪ねて貴重な意見や提案をいただき、それを報告書にまとめて提出させていただきました。これらすべてのワークが、開業まで約6カ月という短い期間内でのことです。
そして今、当時を振り返ると、あの駅前広場の仕事のおかげで、当社のランドスケープ部門に大きな実績を作ることができました。

JR博多駅前広場

JR博多駅前広場再整備

事業主: 福岡市、JR九州、九州大学
所在地: 福岡県福岡市博多区

JR新博多駅は、2011年3月の九州新幹線鹿児島ルートの全線開通に合わせて開業。九州、福岡を代表するターミナル駅であり、九州最大の駅でもある。このルート全通により、熊本や鹿児島など九州主要都市と博多間の移動時間が大幅に短縮され、西日本の交通体系の新時代が幕を開けた。
博多駅と西側に建設された新駅ビルは、従来の約6倍の規模で、延べ床面積は約20万㎡まで拡張。駅施設を核に、商業施設、映画館、ホールなどを備えた多機能複合型ビルである。駅前広場も再整備され、歩行者空間が拡充されると共に、駅を中心とした周辺施設との回遊性向上、地下鉄・バスなどとの交通結節機能が充実した。

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