TOYO SCAPE | 01.東京スカイツリー®

世紀の大事業にふさわしいクオリティの高い舗装計画。新しい街のカルチャーの一つとして見つめられている。

東武鉄道の本社ビル、貨物ヤードなどがあった敷地を活かし、100年に一度の大事業といわれる東京スカイツリー®の建設計画は進みました。その敷地面積は約36,000㎡、建築面積は約32,000㎡に及びます。タワーと下部にあるタウンの建築だけでも、その設計や工事は大変なものですが、外構についても相当なスケールでした。なかでも、タワーの東にある押上駅と、西のスカイツリータウン駅を結ぶ街路は、各施設の玄関への動線ともなり、そのデザインと機能性、舗装材には高度なクオリティが求められていました。
東洋工業はその重要な舗装計画で、面積の大半を占める約7,500㎡の舗装材を担当。設計者のイメージと意向に沿い、すべての製品が特注品。材料と製品づくりに工夫を凝らし、茨城県にある当社関東工場を中心に、他県の製造工場でも生産に取り組みました。工事に対応した生産・納品は厳しいスケジュールでしたが問題なくクリアできました。
東京スカイツリー®がオープンした今日、多くの人々の足元に豊かな表情を魅せることができました。

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生コンクリート工場発祥の地、東武鉄道ドック跡など、地域の歴史を大切にした舗装材を使用。

東京スカイツリー®の建設地は、かつて日本における生コンクリート工場発祥の地でした。その歴史を大切にしようと、舗装材はコンクリート平板が用いられ、庵治石を使った透水性コンクリート舗装材(特注スーパーテラ)が採用されました。450×450サイズはダイヤ仕上げによりマットな印象に、600×150サイズは粗仕上げで光沢のある表情を出しました。同じ色、素材でありながら表面の仕上げ方法だけを変えることによって、江戸時代に流行したモノトーンの縞模様(唐桟縞)を表現することに成功しました。
縞模様を切り返したデザインは、着物の「折り返し」がイメージされています。着物を折り返した時の裏地となる部分には、当時あった東武鉄道旧ドックの古いコンクリートの切削面に表れる美しさをモチーフにした川砂利切削平板が用いられました。骨材には、四国の淡路5色を用いて独自の製造方法にて製造され、その鮮やかな色調を「差し色」として差し込むことができました。
また、エントランスに広がるオープンスペースには、「透水性舗装材スーパーテラ」(特注タイプ)の表面洗い出し研磨仕上げのサビ、グレー、ライトグレーの3色を使って、モニュメントを中心に縞模様と波紋が交差して拡がるイメージを表現しています。

スーパーテラ特注研磨透水平板(ダイヤ仕上げ)450×450×60
表面をダイヤ仕上げにすることでマットな印象に。
スーパーテラ特注研磨透水平板(粗仕上げ)600×150×60
表面を粗仕上げにすることで光沢感のある表情に。
川砂利切削平板 450×450×60
淡路5色を使用して護岸のコンクリート切削面をイメージ。独特な色合いから「差し色」として使われました。
  • ダイヤ仕上げと粗仕上げの違いだけで縞模様を表現。風情が感じられる印象に。

  • 着物を折り返した時の裏地を表現(左側)。モノトーンの縞模様の中に「差し色」としてアクセントに。

  • 生コンクリート工場発祥の地を表した石碑。

  • 川砂利切削平板から立ちあがる階段の表情も、舗装材と同じく護岸のイメージに統一されている。

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デザイン担当者の話

設計図面に取り組んだ企画デザイン室。段階が進むにつれ、使命感を実感。

スケールの大きい仕事のため、設計者のイメージや意向を的確につかみ、それを具体化するデザイン図面の制作が必要でした。そこで当社企画デザイン室東京企画デザイン課によって図面を作成していきました。
当初は情報の不足と、度重なる変更のため全体を把握することができませんでした。また、憩いのスペースとなるソラマチ広場における網目デザインの対応には四苦八苦しましたが根気強く取り組み、デザインを仕上げていきました。
段階毎の修正も多かったのですが、当プロジェクトに参加しているという使命感と、関係スタッフとのコミュニケーションを図ることで、無事に完成することができました。

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営業担当者の話

厳しい条件と様々な問題。工場・運輸・各部門のスタッフとの連携で一つひとつクリアにしていき、完成することができました。

一生に何度出合えるか。そんな大仕事に感謝しながらも、工事を担当した私のプレッシャーはスゴイものでした。関東営業部を中心に、埼玉、神奈川営業所、企画デザイン室などのスタッフが集まり、まさに総力戦で取り組みました。
 2009年、東京スカイツリー®・プロジェクトへのアプローチは、他社と比べるとやや遅れ気味。そんな状況の中、まず全力で取り組んだのが、施主や設計会社、建築会社などと仕事のパイプをいかに築くかということ。この努力と苦労は、担当の営業スタッフならではの実感です。その甲斐があって、2010年5月に設計会社から「競合」に参加してみないかと声をかけられ、私たちは早速プロジェクトチームを結成。設計会社から舗装材に関する様々な条件を聞き出すことができました。
 そして、実施設計の最終段階を迎えた頃、試作品を製作。現在の押上駅広場の敷地で試験貼りを実施しました。これが業者選定の最終評価会であり、その結果として当社は1階の街路エリアを担当することになりました。
 製品づくりにあたって、一番苦労したのは縞模様を表現する庵治石を使った舗装材。同じ骨材を使って仕上げの研磨で濃淡をつける。この加減が難しく、目の前と離れて見るのでは大違い。街路エリアのメイン材となるだけに、関東工場では数え切れない試作品を製作しました。また「差し色」として使われる舗装材づくりの困難さにも直面。四国の淡路5色という素材を見つけたのはいいのですが、骨材の粒度が大きく、マシンで混ぜると石が偏ってしまう。それでも工場スタッフのアイデアと努力でどうにか問題を解決することができました。しかし、私としては製品が納入され、実際に貼り込まれる現場を見てOKが出るまでは祈るような気持ちでした。
 設計面においても、設計者のイメージを聞くだけでは、なかなか全体像がつかむことができず、当社の企画デザイン室に図面作成を依頼、度重なる変更にも胃が痛くなる思いでしたが少しずつ全体を把握していきました。
 工事が進捗し製品の納入時は、朝の6時頃から現場で待機。私の役割ではないのですが、現場に居ないと落ち着きませんでした。こうして当社のいろいろなスタッフに助けられ、舗装工事を完了することができました。

東京スカイツリー®

東京スカイツリータウン®

事業主: 東武鉄道/東武タワースカイツリー
所在地: 東京都墨田区押上一丁目

押上・業平橋駅周辺地区公共施設修景整備

事業主: 押上・業平橋駅周辺土地区画整理組合
都市再生機構
所在地: 東京都墨田区押上一丁目

634mの高さを誇る世界一の自立式電波塔、東京スカイツリー®。2012年5月22日、東京の新しいランドマークとして活動を始めた。タワーの足元には「東京スカイツリータウン®」と呼ばれる、312の商業施設が集う「東京ソラマチ®」、小笠原諸島の海を再現した「すみだ水族館」、宇宙の素晴らしさを体感できる「天空」プラネタリウムなど、全館を一日周遊しても飽きることがない。
 タワーの地元・墨田区の浅草、向島、両国など、歴史ある下町に、タワーがもたらす観光振興と町興し効果は計り知れないものがある。伝統の町に最新の文化が融合し、いま新しい墨田物語が始まっている。

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