さまざまな想いを大切に「ご納得いただける提案のために最大限できることを」 フードコーディネーター・グラフィックデザイナー 湊いくよ

グラフィックデザイナーとして活躍する中で、食品に携わることが多く、もっとトータルな提案ができるようにとフードコーディネーターの資格を取得したという湊さん。仕事内容に幅ができたことでさらにご要望に合わせた提案ができるようになったという湊さんはちょうど、仕事場兼自宅を新築したばかり。ご自身の庭をつくるタイミングでお聞きしたクリエイティブな庭とはどんなものでしょう。

女性ならではの視点を持ち
プロの立場でトータルにご提案

 現在は、フードコーディネーターとしてフードスタイリングやレシピ作成を行うのと同時に、グラフィックデザイナーとしてデザイン制作にも関わっています。もともと、いろんなことをやりたいという性格なのもあって、お客様に喜んでもらうにはどうすればいいか、というのを常に考えてしまって。当初は広告やカタログの制作という関わり方だったのが、いつの間にか販売促進企画や商品開発、ひいては企業全体のブランディングまでお手伝いすることも多くなっています。

 心がけているのは、この人になら任せられると思っていただけるような安心感。プロのコーディネーターとして雰囲気作りにも気を配ります。忘れてはいけないのは、いつもエンドユーザーの視点に立つことだと思っています。また、さまざまな環境に暮らす女性の方々が、自分らしさの楽しみを見出してもらえるようなご提案をいつも意識しています。女性ならでは、主婦ならでは、母親ならではの視点って大事だと思うんですよね。

クライアントの思いを形にする
それができるプロでありたい

 結婚前はグラフィックデザイナーとして仕事をしていました。その時にお世話になった師とも呼べるデザイナーが自然体でとてもステキな方で。わたしも、仕事はもちろんライフスタイルも含めて、“自分にしかできない事を自分らしく”そんな働き方をしたいなって思ったんです。その後、出産を控えて産休に入った時に、何かプラスアルファでお客様にご提供できるスキルを身につけたいと考えました。それまでも食品メーカーさんとのお仕事が多く、フードスタイリングやレシピ作成をプロにお願いすることも多かったのですが、どうしても料理研究家の方だと、売りたい商品の特長や見せ方よりも、お料理そのものに力が入りますよね。それはプロとして当然の姿勢なのですが…。もっとクライアントのご要望や商品への思いをユーザー側の思いとマッチさせられる提案がしたいと考えた時、ずっと打ち合わせから関わっている自分が携わるほうが伝わりやすいのではないかと思ったんです。もともと料理が好きだったこともあり、育休の間にフードコーディネーターの資格を取得しました。

仕事と家庭を両立する中で
求めるのは居心地の良さ

 夫は自営で時計の修理を手掛けているので、ふたりとも仕事場は自宅。究極の職住接近です(笑)。なので、仕事とプライベートを分けるというよりも、仕事をしていても、家事をしていても、くつろいでいても、どんな時でも家族全員にとって心地よい場所になればと考えて、自宅を新築しました。夫の仕事場は外からも入れるようにし、あえて生活空間とは少し離れた位置に。逆にわたしの仕事場はリビングダイニングの横。子どもが帰ってきたあとは、その姿を見ながら仕事できるようにしたんです。パントリーをはさんでキッチンともつながっているのでパソコン作業の合間に料理をすることもできます。

 家の中のインテリアは心地よいものに。生活感がありすぎるのも困りますが、生活する場所ですから、かしこまりすぎるのも疲れますよね。できるだけ緑も欠かさないようにしています。裏にある山の木やツルが自由に使えるので、大きなガラス器に大きな枝を無造作に活けるのが、最近は気に入っています。

家族を出迎えてくれる庭は
家と街をつなぐ橋渡し役

 新築したばかりでちょうど庭づくりを計画しているところなのですが、わたしにとって庭は、自然や街並みとプライベートな居住空間を融合させる橋渡し役のような存在。「家庭」って家に庭と書くでしょう。帰省して、庭を見た瞬間に、ああ帰ってきた、と思うという話もよく耳にします。建物を外とつないでくれる空間だから、「ただいま」と帰った時に「おかえり」と出迎えてくれるような空間にしたいな、と思っています。

 実現したいと思っているのは、実のなる木を植えること。庭に果実がなるのって嬉しいですよね。また、日本料理では、旬の食材だけでなく季節の草花で料理を演出する場合も多いですし、西洋料理でもテーブルには季節の花を飾ります。食事に季節感を取り入れるのもひとつの食文化。四季折々の花を植えることで生活に取り入れやすくする工夫をしたいと考えています。

10年、20年と時を重ねて
長く愛せる庭であれば

 ガーデンデザイナーに求められるのは、クライアントの意図や要望をしっかりつかんで、それにプラスアルファの提案をするということではないかと思います。それは、どのクリエイターでも同じことかもしれませんが…。住まう人のライフスタイルに合わせて、例えばペットと一緒に過ごす、趣味を満喫する、など目的をはっきりさせる庭もいいかも。それから、現在だけでなく10年後、20年後、ずっと愛せる庭を提案できたら素敵ですよね。苔が生えてきたり、形が少し崩れてきたり、といった経年劣化も含めて愛せるような…。そんなふうに時を重ねて長く付き合っていける庭を提案できたらいいですね。

湊さん

プロとしてクライアントに安心感を与える存在でありたいと話す湊さん。全体から細部まで徹底してこだわり、トータルで提案したいという熱意も、根幹にはその想いがあってこそ。家や家族、そして庭。すべてのものに向けられる眼差しには共通して、ライフスタイルを心地よいものにという柔らかさがありました。

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